「キリがいいから月末で」と何となく決めていませんか。実は退職日を月末にするか、月末の前日にするかの1日差で、社会保険の扱いが変わります。どちらが得かは一概に言えませんが、仕組みを知らずに決めるのはもったいない差です。
結論:仕組みはこの表のとおり
| 退職日 | 社会保険 | その月の保険料 |
|---|---|---|
| 月末(例: 8/31) | 退職月まで会社の社保に加入 | 給与から2ヶ月分まとめて天引きされることがある |
| 月末前日(例: 8/30) | 退職月は国保・国民年金に自分で切替 | 退職月の社保天引きなし(手取りは増える) |
ポイントは、社会保険の資格喪失日が「退職日の翌日」であることです。月末退職なら喪失日は翌月1日になるため、退職月まで会社の健康保険と厚生年金に入ったままでいられます。
月末退職が向いている人
- 厚生年金を1ヶ月でも多く積みたい人 — 月末退職なら退職月も厚生年金の加入月になります。国民年金だけの月より将来の年金額にプラスです
- 扶養家族がいる人 — 会社の健康保険の扶養がその月まで使えます
- 切り替え手続きを1回で済ませたい人
注意:月末退職の場合、最後の給与から保険料が2ヶ月分引かれて「手取りが少ない!」と驚くことがあります。これは前月分と当月分をまとめて精算しているだけで、損をしているわけではありません。
月末前日退職が向いている人
- 最後の月の手取りを少しでも増やしたい人 — 退職月の社保天引きがなくなります
- ただしその月は国民健康保険と国民年金に自分で加入する必要があり、保険料は結局自分で払います。「天引きがない=タダ」ではない点に注意してください
つまり「月末前日が得」と言い切る記事もありますが、実際は保険料の支払い先が変わるだけのことが多く、厚生年金の積み増しを考えると月末退職に分がある人も多いです。
本当に大きいのは「1日の壁」のほう
正直に言うと、月末か前日かの差よりも影響が大きいのが失業保険の「壁」です。たとえば勤続9年11ヶ月と10年0ヶ月では、自己都合退職の給付日数が90日から120日に増え、月給35万円なら約19.5万円の差になります。
退職日を決めるときは、①勤続年数・年齢の壁 → ②賞与の支給日 → ③月末か前日か、の順番で考えるのが損しない順番です。
まとめ
- 月末退職=退職月まで会社の社保。厚生年金が1ヶ月多く積める
- 月末前日退職=退職月の天引きなし。ただし国保・国民年金は自分で加入して支払う
- 差額のインパクトは「失業保険の壁」のほうがはるかに大きい。壁の位置を先に確認してから、月末か前日かを決めるのがおすすめです
※社会保険の細かい取り扱いは加入している健康保険(協会けんぽ・健保組合)によって異なる場合があります。